書評
高橋恒明「生産管理システム」---システム導入の要点・理論と現実的システムの融合
キューエスアール出版 1600円
副工場長の福田さんとソフトウェア会社の吉田さんが対話しながら「生産管理システム」
への理解を深める、という本です。
「…いろいろな単語で顧客を煙に巻く擬似コンサルタント…」とか、「…(生産管理シス
テム)パッケージがありますが御社工場が当てはめられるか検討しましょうという言い方
は、何か話が転倒していますね。…」など、現状に警句を発しながら吉田さんは話を進め
ます。
たくさんの類書が流布しているのを承知で、この本を世に問う著者の気持が伝わります。
福田さんの現場経験に基づく様々な(尤もと思われる)質問に、(著者の分身)吉田さん
はある時はシステムを“調達”というキーワードにまとめて、また或る時は「予測は外れ
るものだと思った方がよいですね。」とリードしながら、正面から応えていきます。
そして、システムの運営には周到な合理性で臨むべきことが丁寧に述べられます。『製(造)
番(号)引落ロジック』など、その際たるものに思えます。一見「なんで?」と“不合理”に
感じられる論理が、結果としてはシステムに合理的に働くことにつながっていくところな
どは推理小説の謎解きのようなスリルがあります。
一方で、「…当初はある程度ラフに設定し、システムを使い込んで、計画の結果をフィー
ドバックして改善していく…」と、ゆとりの必要性が説かれます。私達がエクセルのファ
イルを作成する時などに忘れてはいけない心構えではないでしょうか。また、『1日ブレー
ク』という、対人関係にも役立ちそうな知恵も提示されています。
繰り返しになりますが、著者の内部に、この本を書かねばならないという、いわば必然
性の存在していることが理解できます。明快に説得してくれます。
本の題名のストレートなところに著者の潔さが現れています。“わかりやすい”だの“役
に立つ”だのと謡い込んでの「売らんかな」などとは無縁だということです。
「生産」や「IT」を論じても、その行き届いた人間性はきちんと反映するものです。
評者:萩原(G)
読みたい方は、近くの本屋さん、amazon、国会図書館などに問い合わせてください。
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